ブラック研究室で学士から修士課程に進学するということ
安直な進学で良いのか…
理系、特に化学系の学生にとって学士を取得し、修士を取るために、大学院へ進学することは違和感がないことであると思います。私もそうでした。今の時代、修士ぐらいとっておかないと『研究職』につけない、出産後も修士の学位があれば復職しやすい、給与がいい、就職にゆうりであるなどなど,,,。こうした囁きに聞き覚えはありませんか?
そして、教授は続けます。『だからウチの研究室に進学して引き続き研究を頑張ろうね!』と。わかりやすいアレな例としては、『研究者として責任をもって育てたいから、ウチに配属を希望する学生は必ず修士課程まで進学してください。筋を通すこと、それは、お互いの信用問題ですからね』と宣言しておられる方もおられました。
大学院に進学するということ
大学院に進学することは、社会ではマイノリティーな生き方である事を自覚する必要があります。高校生の約50%が高等教育機関に進学します。この学生の総数は大学院を除いて、334万人に相当します。これに対して、大学院前期課程の学生は約14万人でしかありません。単純計算して高等教育機関の4%、同世代(6年間)で1%以下に相当する超レアキャラになります。そのレアキャラになるためには、睡眠時間を削って研究室の雑用とデータを採取すると同時に、学費・交通費・学会費・雑費など400万円近い自己投資が必要になります。
レアキャラは希少価値に繋がるか
ソシャゲーであれば、お金を積んででも入手したいレアキャラかもしれないですが、企業からみると事情は異なるようです。確かに、人当たりも良くて、人心掌握力に優れていて、意見をしっかり伝えることができるヒトであれば、企業は喜んで採用してくれます。加えて英語でのコミュニケーション能力や研究能力があれば言うことなしです。しかし、ブラック研究室で、肉体労働に従事して、心身摩耗し死んだ魚の目を持ち、理屈抜きの力技でスクリーニングをかけ、根性で最適化して研究成果を出してきたようなヒトは求めていない、ような印象があります。(是非、貴方の先輩方の就職活動を観察してください。普段の研究に対する姿勢と就職活動の結果の相関から、この真偽が見えてくるハズです)。
いずれにしろ、レアキャラとして採用してもらうためには、成果以外のところで相応の人間力を磨いておく必要があるのです。
本当のレアキャラになるために
本当のレアキャラになるために、成長できる場所を選ぶ必要があります・
安直にその研究室に進学して大丈夫ですか?
今の生活をあと二年続けて貴方のココロとカラダが持ちますか?
成長できる環境にありますか?
その研究室生活は本当に研究を行っていますか?
先生や博士後期課程の雑用・労働力になっていませんか?
こうした自問自答に自信をもって回答できるのであれば、OKです。自信をもって進学しましょう。
大学生活のゴールは『賃金を得る手段を見つける』=『就職』です
就職活動が始まってから、ペーパーテストでNMRが解けない,人名反応の反応機構がわからない,英語ができない,SIPができない,と嘆いても遅いです。やればできる,やらなければ出来るわけない。研究者になるためには、研究ができる企業に就職する必要があります。今の研究室生活の中で教育や勉強する時間はありますか。ないなら自分で確保できていますよね。そして研究者として理解していることを当たり前に期待されています。勉強する環境を整えている研究室は山ほどあるようですが…。
ゴールに繋がる道があるか、冷静に研究室生活を振り返ってみましょう
・将来、就職してお金を稼ぐための経験を積める努力をしてくれているか?
・問題解決に喜びを感じているか?
・あなたを「金・業績のなる木」として見ていないか?
・指導教官は「あなた」を見ているか?私生活を考慮してくれているか?
・問題解決に喜びを感じているか?
・あなたを「金・業績のなる木」として見ていないか?
・指導教官は「あなた」を見ているか?私生活を考慮してくれているか?
・夢ややりがい,社会貢献,エリート意識(選民思想),人類の価値など精神論,あやふやなものを強調していないか?
・必要な教育を与えているか?
目に見えて明らかな場合だけではありません。
基本的に放置で、結果をもって行ったとき甘い顔。向こうから働けとは働きかけません。自ら劣悪な環境で働くことをよしとさせるらしいです。劣悪な条件で学生を嬉々として働かせる「やりがいによる搾取」をおこなう研究室もあります。
気をつけてください。
こういったパターンの研究室もあります。
研究者は答えのない問題に取り組む仕事
⇓
だから,無心で雑念(知識)がないほうが大きなヤマが当たる可能性がある
可能性を信じて手を動かしてスクリーニングさせたほうが,期待値がデカい
⇓
教育・議論は時間の無駄。無心で実験させることがコスパ◎
学生なんか毎年たくさん配属されてきます。このうち誰かが結果を出してくれればいいのですから。有機化学は頭すっからかんでも、手を動かし続ければそれっぽい結果が出てしまいます。思考力の劣化と自身の愚かさを自覚できるのは就職活動が始まってからです。
ブラック研究室からの脱獄『他の研究室に進学』
違う研究室、他学部、他大の院に進学する場合、「同じ研究室で修行しないと一人前の研究者として成長できないよ。だから内部進学ね」ともっともらしい持説を展開する先生がおります。全くもって嘘です。有名な先生の経歴を見てみれば、研究者としての成長とキャリアの一貫性の関連がないことは明らかです。そういうもっともらしいことを真顔で言える先生ほど、他大学から喜んで院生を受け入れています。ようは兵隊を減らしたくないのです。そんなセンセイの元で雑用をしている意義がないから、労力をかけてあえて研究室を移動せざるえないのです。より良い教育環境を得るために、研究室や指導教官を選択することは、授業料を自分で工面するためのあなたの権利です。他人の都合より自分の人生の方が尊いです。絶対に折れないでください。
研究職に就くためには、修士になることが必要か?
これは、明らかに嘘です。学士卒でバリバリに研究職をしている人もいますし、工業高校を卒業して研究職補佐職に従事し、現在総合職任用試験を受けて研究者をしている人もいます。例外はいくらでもあります。世間は広いです。研究職に就きたいのであれば、大学院で無駄な苦役に人生を浪費するよりも、頑張るべきは、情報収集と就職活動であったと私は思います。まっとうな研究室で修士を取得しつつ、堅実な就職活動を行ったヒトは研究職に就く確率が一番高いのは事実でしょうが。
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