まずは金の話
生々しい研究室での話は置いておき、人生で一番大切なお金の話をします。研究生活の中で感覚がおかしくなってくると、『お金よりやりがい』、『お金が全てじゃない』、といった戯言を考えるようになります。多くの場合、性欲・物欲を断ち、男ばかりの中で実験できればそれで満足であると自分を騙し続けた結果、このような発言をします。理系の就職活動では、人生の門出を決める就職活動よりも、無賃金労働の雑用や後輩の指導、研究を優先する大馬鹿が出現します。
現実は…
お金について深く考えず就職活動を妥協すると、現実が見え始めるのは入社3年目ぐらいからです。そもそも、修士修了、ひいては博士後期課程修了者は通常の大卒や高卒に比べこれまでの労働時間が少なく、それに見合うだけの賃金を得られる企業に就職しなければ、丸損、かつライフイベントのための貯蓄ができません。
多くの会社では団塊の世代が閊えており、かつ、業務内容の細分化によって全体像を把握できない、スキルの身につかない業務を行なう。そんなんで、いざという時、ろくな転職もできやしません。
あなたは今、お付き合いしている方がいますか?現在の20代の生涯未婚率は35%だと推定されています。異性とお付き合いできるスキルを身につけていますか?男ばかりの技術職、未婚率は高くなりそうですよね。(だからって女性なら簡単に結婚できるってわけでもないですが...涙)
多くの会社では団塊の世代が閊えており、かつ、業務内容の細分化によって全体像を把握できない、スキルの身につかない業務を行なう。そんなんで、いざという時、ろくな転職もできやしません。
あなたは今、お付き合いしている方がいますか?現在の20代の生涯未婚率は35%だと推定されています。異性とお付き合いできるスキルを身につけていますか?男ばかりの技術職、未婚率は高くなりそうですよね。(だからって女性なら簡単に結婚できるってわけでもないですが...涙)
厳しくなるお金の話
一般的に修士の給与は20万~25万円程度で一見多いように見えます。しかし、現在非常に厳しい現実があります。いくつもの世代間ギャップもあり、親世代の感覚では生活していくことができません。
税金の増加
所得や状況によって具体的な負担金額が異なるため一概には言えませんが、社会保障負担率は1980年には8.8%であったのに対して、2016年現在は17.8%に上昇、個人の所得課税も5.2%から8.2%まで上昇しています。国民の負担率は30%から44%まで増加しました。今後も高齢化を伴って増える要素しかありません。具体的に、20万円程度の給与だと約1/5ほどが税金で差っ引かれ、そこから労働組合や社員食堂の天引き、家賃、食費、奨学金や車のローンや維持費を賄うと趣味のお金、貯金できるお金は僅かです。
わかりやすい例(消費税
具体的にどれくらい税金の影響があるのか、わかりやすい例が消費税です。消費税は私が生まれた少しあと、1989年に3%で導入され、その後1997年に5%に増税、2014年に8%、その後10%までは既定路線であり、今後も増加することが予想されています。この事実は、実際に使えるお金が大きく目減りしていることを意味しています。
親世代が子育てを始めた1988年の当時の20万円の価値が、私たちが今後経験する消費税10%の世界では、目減りして18万円分の商品しか購入できないことを意味します。消費税だけでも、親より1.1倍高い給与を得て初めて同じ土俵に立てるのです。これに拡大するその他税負担が大きく影響してきます。
親世代が子育てを始めた1988年の当時の20万円の価値が、私たちが今後経験する消費税10%の世界では、目減りして18万円分の商品しか購入できないことを意味します。消費税だけでも、親より1.1倍高い給与を得て初めて同じ土俵に立てるのです。これに拡大するその他税負担が大きく影響してきます。
社会保障
また、現行の社会保障制度による世代間格差は悲惨です。60歳以上(1938年以前)は+4875万円で勝ち逃げができるのに対して、私たち(1979-1988年生まれ)で-1660万円、1989年生まれで-4585万円の負担が課せられています。
厳しい現実①
一方で、こうした負担増加に対して、新卒の初任給の平均はほとんど変動していません。大卒で比較すると、1989年で19.2万円であるのに対して、2016年では20.2万円です。さらに、稼げるような教育を学生に与えていないにも関わらず、大学の学費は高騰しています。国立大学では、1975年は入学料36000円、年間の学費は50000円、1988年で入学料185400円、年間学費は339600円でした。一方で2016年現在は入学料282,000円、年間学費が535,800円となっています。仮にあなたが結婚できて、子供が大学進学すれば、もっと高価になっているでしょう。
厳しい現実②
多くの人が大学・大学院への進学に伴って必要な学費は増え、生涯労働期間は減少した一方で、所得は大幅に減少しています。1968年から20年ほどの収入分布は年収400万円以下が8%,400-800万円が85%,800万円以上が8%でした。この頃の大学進学率は約25-30%程度に過ぎませんでした。対して、大学進学率が50%を超えた昨今では、年収400万円以下が40%と大幅に増加して,400-800万円が40%,800万円以上が20%となっています。しっかり勉強する機会を与えられているはずの現代の方が、相対的に貧乏になる確率が高いのです。
あなたはしっかり勉強・研究に取り組んできたのでしょう。しかし、はじめのステップである就職活動に失敗すれば、いとも簡単に貧乏生活一直線です。巻き返すのはかなり困難です。金銭的に貧乏であることは、あなたのメンタルを弱らせ、さらには肉体的にも悪影響が現れます。
奨学金
近年問題になっている奨学金の返済の話で、『俺はきちんと働いて完済した!返せないのに借金したおまえが悪い』という自己責任論を聞きます。借りたお前が完済したのは立派です。一方で、税金の負担増など前提条件がどんどん悪化している現実があります。単純比較で授業料は親世代と現代世代で年間20万円ほど増加して、修士卒業する頃には120万円余分に必要です。修士に関しては奨学金の一部免除等もありますが研究は努力が報われるとは限りません。奨学金返済に関しては、どんどんハードモードになっていきます。古い教授はその辺を理解していませんから、明らかに教官同士のいがみ合いで、学生が財団等に奨学金申請する際に推薦を拒否する例もありました。
明瞭な世代間格差が存在するのです。
結論
話は少しずれましたが、莫大な投資して修士まで進学した学生の価値が最も高く評価されるのが新卒です。私のように就職活動でしくじると、その不良債権の処理がとんでもなく大変なことになります。社会経験のない既卒は大幅に買い叩かれます。例外は探せば山ほど出てきますが、変更は容易ではありません。ひっくり返せるような精神力があるなら、新卒で失敗しないですから....。就職活動に万全の準備をして真剣に臨むことをおすすめします。
PS
逆説的に普通の生活を捨てて、研究だけにすべてをかけて進学し、にっちもさっちも行かなくなった時点で、人生を捨てる生き方もロックなのかもしれません。
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