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2016年12月7日水曜日

理系の進学 学士・修士・博士 いずれで就職するべきか

理系の進学 学士・修士・博士 いずれで就職するべきか


『ブラック研究室で学士から修士課程に進学するということ』において、大学院、修士課程を大きく否定するような文章を書きましたので、フォローを入れておきます。


金銭的な統計データによる修士課程のススメ

博士>修士>学士の順に賃金が上昇しており、この賃金上昇と学費の投資効果を考えると、博士でも十分に元がとれ、修士に至っては、プレミアが付くほどであるという報告があります。2014年の内閣府経済社会総合研究所より報告された『大学院卒の賃金プレミアム』から引用します。

大学卒(学士)の労働者の給与総額と、修士、博士の給与総額を算出。+2年間の投資(修士の学位)を200万円、+5年間の投資(博士の学位)を500万円と想定して、内部収益率を算出。すると、修士は、男性は11.4%、女性は10.1%、博士は、男性は5.9%、女性は5.7%の投資効果が認められ、修士にはプレミアムが存在するという結果が得られた。
 博士後期課程(博士)を卒業する場合、大学院にて過ごす期間に失う機会費用が重なるために、収入面での優位性は減少する。今後、高度な能力・技能を持った人材、特に研究技術者や専門家を育成しようとするのであれば、留意しておくべき点であるといえるだろう。http://www.esri.go.jp/jp/archive/e_dis/e_dis310/e_dis310.pdf#search=%27%E5%AD%A6%E4%BD%8D+%E5%AD%A6%E6%AD%B4%E5%88%A5%E7%B5%A6%E4%B8%8E+%E5%8D%9A%E5%A3%AB%27

引用終わり

このデータが正しい前提であれば、修士の学位は有効な手段である可能性が大きいです。今の研究室の居心地がよく、生きることに苦痛を感じていなければ進学するのが、合理的な判断かもしれませんね。
修士までは進学しても大丈夫です、ね!!

ただし、(私見ですが...)

本当にプレミアムがついているのか、疑問に思うところがあります。
まず、修士の質の問題です。かつての修士課程は、大学院が設置されている大学自体が少なかったこともあって、修士課程に進学できる母集団の大学のレベルが高かったはずです。現在は、大学院が増加して、かつては修士課程を設置できなかった大学においても取得可能であり、修士が量産されていますから基礎力の面でかつてほどの質が担保されているのでしょうか。

次に、数の問題です。量産の結果、仮に質がよかったとしても、良い就職先の数、社内のポストは限りがあります。加えて、定年延長に伴い、先輩が引退せずポストが空かない企業も多いはずです。従って、今後の若年層は、同様のキャリアーを歩めず、給与が大きく減少していくはずです。(この点については本論でも指摘があり、計算するにあたって賃金テーブルが現状のまま移行することを前提にしています。)

最後に、プレミアについて最大の疑問点は、同じ学部の卒業生を基準に比較できていない点です。一般に学士、修士、博士の順に、集団の偏差値は高くなっていきます。それに見合う賃金上昇なのでしょうか。同じ東大工学部の学士・修士・博士で議論するのであればひょっとしたら異なる可能性があります。旧帝大、地方国公立、有名私立、私立毎に細分化して評価すべきでしょう。多分、困難ですが。加えて、文理の差を考慮できていない状況です。

最大の問題は、余分な2年間、5年間を過ごしたために、どれだけの人が大学や人生からドロップアウトしてしまうのでしょうか?博士後期課程に至っては、学位を取得して就職できた人が年によっても違いますが、6割です。挑戦した結果、全てを失ってしまう人が少なからず存在するのです。貴方が現状に違和感を感じている、耐えられそうないのであれば、早急に就職するのが吉です。

結婚と給与...

男性の方には、興味深いデータが出ています。
既婚者は独身者よりも、大卒で130万円、院卒で133万円年収が高いようです。単に、扶養手当等かと思いきや、妻との死別・離婚者していても、43万円ほど高い傾向があるとのこと。給与が高いから結婚できるのか、結婚できる能力のある人は給与が高くなるのか、謎ですが、結婚経験と給与には明らかな相関が見られています。男性の方は、研究よりも婚活をしたほうが、将来の賃金は高くなる、かもですね。

最後に...

こんな議論、あなたの人生を考える上で意味を持ちません。
(期待を持たせておいて申し訳ありませんが...
一般論として、ドロップアウトしなかった修士の方が平均して良い給与が得られている結果が出ているだけです。これは、奨学金(教育ローン)の合理性や教育政策を議論する為のデータであって、一個人の結果を保証するものではありません。(同様な結果が得られる可能性は限りなく大きいですが)
機械・電子・農学・バイオ・化学といった専攻の違い、就職で重要視されるコミュニケーション能力やパーソナリティーを一切無視しています。

わかりやすい例として、高卒でも、努力して、かつ就職先の選択に成功した方は、普通の大卒や院卒をはるかに上回る給与を得ている、個別の事例を挙げることができます。

どこでなにをするか、ポジションを選択することが大切です。個人を語る上で、平均はあまり意味をなしません。例外はいくらでもあります。良い意味でも、悪い意味でも、貴方が例外になってしまう、なれる可能性はいくらでも、あるのです。




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個人的な幸せと金銭的な関係はある程度は相関しますが、絶対ではありません
その研究室に進んで、将来があると、幸せになれると、絶対の自信持てるのであれば、あなたは修士に進学すれば良いのです。
特殊な例外としてブラック研究室に所属してしまえば、人生に長年に渡って尾を引く、ものすごい貴重な経験をすることができるだけの話です。



2 件のコメント:

  1. 有機合成系M1です。
    ブログ、全部読ませていただきました。
    一言一言心の支えになってます。
    また更新楽しみにしています。

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    返信
    1. 拙い文章に、コメントまでいただきありがとうございます。
      M1ということは、研究はドンドン楽しくなる反面、研究室のあれこれで最も辛い時期かと勝手に想像します。
      自分の意思で悔いのない進路選択できることをお祈りしています。

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