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ゼミ・研究室で指導教官・卒業生へのプレゼント

大学でゼミ、研究室に所属すると何かとプレゼントを探す機会が増えると思います。 素敵な思い出に残るプレゼントの候補を、こちらのページでは特集します! 指導教官への誕生日プレゼント 教授や准教授、助教、秘書の方の誕生日にケーキと一緒に結構高額な...

2016年6月27日月曜日

理系の研究室の選び方①

理系の研究室の選び方①


研究室配属において失敗した項目と、再び研究室を選択するならば重視すべき項目を挙げます。配属前の懸念と、配属後に重大な問題になる事項の乖離は案外、大きいです。肉体的な問題は何とかなっても、物質的に如何ともしがたい問題もあるのです。そして、希望通りの配属が叶った場合、現実とのギャップに目を逸らして無茶してニッチもサッチも行かなくなります。以下の視点が、あなたの研究室選択の参考になれば幸いです。



A.お金に関する事項



1.消耗品の自己負担

 研究には消耗品を利用しますが、研究室によっては自己負担です。
毒物や劇物、生物に強い作用を示す化合物の合成に必須の特殊なゴム手袋は実費でした。教授はHPやメールで安全に実験を行なうよう指導した証拠を残していましたが、学生は年次を進むにつれ素手、無白衣であり、黙認していました。
印刷費も実費でした。自身の卒業論文等の推敲の自己負担は腑に落ちます。しかし、研究室や教授の実績にしかならない特許申請の推敲や、論文の本文やSIの最終確認のための膨大な印刷物も実費でした。年間で数千-万円ほどの自腹でした。

2.学会のお金(学会会員登録費用・発表費用・交通費・宿泊費)の自己負担

 同じ授業料を負担する同一専攻の学生でも研究室ごとに学会に対する待遇が違います。
大学と教授の業績を宣伝する為に、半ば参加を強制される場合もある学会ですが、当然、お金が必要です。食費や新幹線代や宿泊費まで全額負担して貰える研究室がある一方で、発表費用からすべて自己負担になる研究室もあります。まだ、国内であれば飛行機を使っても可愛いものです。あなたが、ハワイやシンガポールの国際学会に研究室の代表として自己負担で参加できるほど裕福であるならば、気にする必要はない項目です。しかし、多くの学生にとって負担は大きいハズです。
 

3.教授のお金に関する価値観

 教授と価値観を合わせられないと辛いです。
教授に金銭的負担について相談したところ、以下のような回答がありました。「奨学金を借りればいい。成果が出れば返済は免除されて全額丸儲け。さらに、学会発表・論文・特許取得の実績は、よい就職に直結して、あっという間に元が取れる。安い投資である」、と。
 私の主観ですが、今振り返れば、これは投資ではなく投機or捨て金(自己満足)でしかありませんでした。就職活動は人間力とその時代の経済状況に左右されます。修士では論文や学会発表が大きな決めてならない場合が多い印象を受けました。
(少なくともうちの研究室では)業績の有無より、卒業生が残した結果の補足検討を『PDCAサイクル』とやらを『ゆっくり』回しながら実験してきた人達の方が、新しい活性化手法を提唱して、意地と根性と力業にて、あらゆる基質・ルイス酸・添加剤を検討して新しい反応を開拓した人よりも臨む進路を手にしていました。

 B.学問と業績に関する事項


1.配属生として実験マシーンになるか、研究見習いになるか

 教授の方針によって研究活動の在り方が大きく異なります。『論文よんで知識を付けても無駄であるとにかく実験することが大切』と我武者羅に朝から深夜まで実験させるスタイルと、実験と並行して基礎知識習得と議論の課程を重視して勉強会を行なうスタイルで大きく分かれます。事前にどちらの研究室が自分に合うか考え、調査しておきましょう。

2.論文の方針

 教授の方針によって論文の作成方法が異なります。
論文の草稿を書く経験ができる研究室、実験データだけ採らせて教授がすべて書き上げる研究室、色々あります。自分がどこまで携わりたいかまで考えて選ぶと良いでしょう。

3.論文の著者




 論文の著者をどうするかも教授の方針で決まります。
論文のFirst authorを一律で教授に統一する、若しくは、最も貢献した学生にするなど先生ごとに個性がでます。また、研究の核に直接関わっていなくても、少し検討に参加した学生が著者に加わる場合もあります。

一方で、高度な政治的配慮が取られる場合があります。『博士後期課程に進学するなら

First authorにシテアゲルケド』という駆け引き、学内外で恩をつくる・権威を借りるために研究に関与していないセンセイを共同研究者にしている場合があります。
 もちろん、就職するなら一切関係ない項目ではあります。しかし、自分の研究にこだわるのであれば、希望する研究室の過去10年分ほどの論文の著者を調べることをお勧めします。博士後期課程に進学していない学生の論文はことごとくFirst authorから外れている、同一の研究室でないにも関わらず同一大学のセンセイの名前が入っているなどの場合、業績を自身の立身出世のためにしか考えていない指導教官である可能性があります。
続く

2016年6月26日日曜日

理系の就職活動に関する賃金の話

まずは金の話

生々しい研究室での話は置いておき、人生で一番大切なお金の話をします。研究生活の中で感覚がおかしくなってくると、『お金よりやりがい』、『お金が全てじゃない』、といった戯言を考えるようになります。多くの場合、性欲・物欲を断ち、男ばかりの中で実験できればそれで満足であると自分を騙し続けた結果、このような発言をします。理系の就職活動では、人生の門出を決める就職活動よりも、無賃金労働の雑用や後輩の指導、研究を優先する大馬鹿が出現します。

現実は

お金について深く考えず就職活動を妥協すると、現実が見え始めるのは入社3年目ぐらいからです。そもそも、修士修了、ひいては博士後期課程修了者は通常の大卒や高卒に比べこれまでの労働時間が少なく、それに見合うだけの賃金を得られる企業に就職しなければ、丸損、かつライフイベントのための貯蓄ができません。
多くの会社では団塊の世代が閊えており、かつ、業務内容の細分化によって全体像を把握できない、スキルの身につかない業務を行なう。そんなんで、いざという時、ろくな転職もできやしません。

あなたは今、お付き合いしている方がいますか?現在の20代の生涯未婚率は35%だと推定されています。異性とお付き合いできるスキルを身につけていますか?男ばかりの技術職、未婚率は高くなりそうですよね。(だからって女性なら簡単に結婚できるってわけでもないですが...涙)

厳しくなるお金の話

一般的に修士の給与は20万~25万円程度で一見多いように見えます。しかし、現在非常に厳しい現実があります。いくつもの世代間ギャップもあり、親世代の感覚では生活していくことができません。

税金の増加

所得や状況によって具体的な負担金額が異なるため一概には言えませんが、社会保障負担率は1980年には8.8%であったのに対して、2016年現在は17.8%に上昇、個人の所得課税も5.2%から8.2%まで上昇しています。国民の負担率は30%から44%まで増加しました。今後も高齢化を伴って増える要素しかありません。具体的に、20万円程度の給与だと約1/5ほどが税金で差っ引かれ、そこから労働組合や社員食堂の天引き、家賃、食費、奨学金や車のローンや維持費を賄うと趣味のお金、貯金できるお金は僅かです。


わかりやすい例(消費税

具体的にどれくらい税金の影響があるのか、わかりやすい例が消費税です。消費税は私が生まれた少しあと、1989年に3%で導入され、その後1997年に5%に増税、2014年に8%、その後10%までは既定路線であり、今後も増加することが予想されています。この事実は、実際に使えるお金が大きく目減りしていることを意味しています。

親世代が子育てを始めた1988年の当時の20万円の価値が、私たちが今後経験する消費税10%の世界では、目減りして18万円分の商品しか購入できないことを意味します。消費税だけでも、親より1.1倍高い給与を得て初めて同じ土俵に立てるのです。これに拡大するその他税負担が大きく影響してきます。

社会保障

また、現行の社会保障制度による世代間格差は悲惨です。60歳以上(1938年以前)は+4875万円で勝ち逃げができるのに対して、私たち(1979-1988年生まれ)で-1660万円1989年生まれで-4585万円の負担が課せられています。

厳しい現実①

一方で、こうした負担増加に対して、新卒の初任給の平均はほとんど変動していません。大卒で比較すると、1989年で19.2万円であるのに対して、2016年では20.2万円です。さらに、稼げるような教育を学生に与えていないにも関わらず、大学の学費は高騰しています。国立大学では、1975年は入学料36000円、年間の学費は50000円、1988年で入学料185400円、年間学費は339600円でした。一方で2016年現在は入学料282,000円、年間学費が535,800円となっています。仮にあなたが結婚できて、子供が大学進学すれば、もっと高価になっているでしょう。


厳しい現実②

多くの人が大学・大学院への進学に伴って必要な学費は増え、生涯労働期間は減少した一方で、所得は大幅に減少しています。1968年から20年ほどの収入分布は年収400万円以下が8%,400-800万円が85%,800万円以上が8%でした。この頃の大学進学率は約25-30%程度に過ぎませんでした。対して、大学進学率が50%を超えた昨今では、年収400万円以下が40%と大幅に増加して,400-800万円が40%,800万円以上が20%となっています。しっかり勉強する機会を与えられているはずの現代の方が、相対的に貧乏になる確率が高いのです。
あなたはしっかり勉強・研究に取り組んできたのでしょう。しかし、はじめのステップである就職活動に失敗すれば、いとも簡単に貧乏生活一直線です。巻き返すのはかなり困難です。金銭的に貧乏であることは、あなたのメンタルを弱らせ、さらには肉体的にも悪影響が現れます。

 奨学金

近年問題になっている奨学金の返済の話で、『俺はきちんと働いて完済した!返せないのに借金したおまえが悪い』という自己責任論を聞きます。借りたお前が完済したのは立派です。一方で、税金の負担増など前提条件がどんどん悪化している現実があります。単純比較で授業料は親世代と現代世代で年間20万円ほど増加して、修士卒業する頃には120万円余分に必要です。修士に関しては奨学金の一部免除等もありますが研究は努力が報われるとは限りません。奨学金返済に関しては、どんどんハードモードになっていきます。古い教授はその辺を理解していませんから、明らかに教官同士のいがみ合いで、学生が財団等に奨学金申請する際に推薦を拒否する例もありました。

明瞭な世代間格差が存在するのです。

結論


話は少しずれましたが、莫大な投資して修士まで進学した学生の価値が最も高く評価されるのが新卒です。私のように就職活動でしくじると、その不良債権の処理がとんでもなく大変なことになります。社会経験のない既卒は大幅に買い叩かれます。例外は探せば山ほど出てきますが、変更は容易ではありません。ひっくり返せるような精神力があるなら、新卒で失敗しないですから....。就職活動に万全の準備をして真剣に臨むことをおすすめします。

PS

逆説的に普通の生活を捨てて、研究だけにすべてをかけて進学し、にっちもさっちも行かなくなった時点で、人生を捨てる生き方もロックなのかもしれません。