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ゼミ・研究室で指導教官・卒業生へのプレゼント

大学でゼミ、研究室に所属すると何かとプレゼントを探す機会が増えると思います。 素敵な思い出に残るプレゼントの候補を、こちらのページでは特集します! 指導教官への誕生日プレゼント 教授や准教授、助教、秘書の方の誕生日にケーキと一緒に結構高額な...

2016年12月14日水曜日

ゼミ・研究室で指導教官・卒業生へのプレゼント

大学でゼミ、研究室に所属すると何かとプレゼントを探す機会が増えると思います。
素敵な思い出に残るプレゼントの候補を、こちらのページでは特集します!




指導教官への誕生日プレゼント

教授や准教授、助教、秘書の方の誕生日にケーキと一緒に結構高額なプレゼントを送っていた経験があります。ネットで見ても、高額なフォトフレームやコーヒーメーカー、マッサージ機械、論文用タブレットなど人数割りすることで、かなり高品質なものを送っています。多少の出費で日頃の感謝を伝え、今後の円滑なコミュニケーションが確保できるのであれば、少々生活費を削っても価値のある投資だったといえます(切実)。


お世話になった先輩・後輩の卒業式

きつい研究生活を乗り切る中で、こころの支えになってくださった先輩や、痛いところをフォローしてくれた後輩と別れることになる3月。気持ちのこもったプレゼントを送りたくなりませんか?また、これまでにステキな経験を積ませてくださった大先輩にもそれなりのプレゼントを送りたいですよね...

卒業式のお礼

長くて辛い研究室生活を送ることができたのは、指導教官と先輩・後輩のおかげです。形として残るものを選択できると喜ばれますよ。



具体的に何お贈るか

せっかくなので特殊なプレゼント・記念品をチョイスしてみました。


感謝を込める

①ギフトガラス


研究室のオリジナル表札、教官専用のオリジナルワイングラスなど、非常に綺麗でインパクトがあります。予算に合わして、メッセージや柄、フレームとオリジナリティーを選択できます。研究のキーワードを刻む等、オンリーワンのプレゼントとして、喜ばれること間違いなしです。
なんと、名前入り卒業記念もあります。デザインの希望も出せる『会社やお店のロゴ、チームのマークなどのデザインや、お客様オリジナルの持込デザインでの彫刻にも対応しております』ようで、ラボのロゴやキー化合物を入れたり、論文や研究テーマのキーワードを彫刻できないか、相談してみるのもありですね。

(←表札AKIグラスショップより引用)

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②日時・名前を彫刻したワイン

お酒が好きな指導教官には飲んでオシマイにするのではなく、記念として飾ることのできる、ワインがおすすめです。スワロフスキー社製のラインストーンで豪華なデコレーションされていたり、金箔入りやであったり、写真入りであったり、ワインの選択肢が多いです。指導教官が喜ぶこと間違いなしです!

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 ③似顔絵

卒業される先輩の似顔絵+メッセージを送るのはいかがですか?自作できるのが一番早いですが、写真とメッセージから素敵な似顔絵を作製してくれるサービスもあります(金婚式 還暦 祝い 書き下ろし館)。金婚祝いや結婚式がメインですが、卒業式でも対応していただける記載がありますたので参考にどうぞ。

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④パズル
 意味のある写真を使って、パズルを送るのはいかかでしょうか?ピースを組み立てるまで、中身はお楽しみ。研究室の集合写真や、ゼミ旅行のワンシーン、卒業生のテーマに関する化学式など世界でひとつだけのオリジナルなパズルをつくることができます(オリジナルプリントパズル)。完成後は額にいれて研究室の目立つところに飾っておきましょう!

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意味にこだわる

①ハンカチーフ

ハンカチは、漢字で書くと『手巾』⇒『てぎれ』となることから、縁を切る、手切れの意味合いを持ちます。これまでにオセワになったセンセイやセンパイ、コウハイから厄払い、振り返らずに前に進む決意をもってハンカーフも素敵ではないですか。

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ハンカチーフ 男性用 

②食べ物



謝恩会やゼミでの卒業式会の会場で、どさくさに紛れておつまみの中に紛れ込ませておいたら、オセワニナッタ方たちに一生記憶に残るプレゼントになること間違いないです。
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シュールストレミングス



くさや


オモイが伝わるステキなプレゼントがあれば、教えてください。

以上

2016年12月10日土曜日

ドクターのトドメ 社会的価値

引き続き、博士後期課程についてまとめていきます。



ドクターの学位の価値について、公的機関が発表しているデータを元に綴ってみます。引用するデータは、あくまでも一般的な結果です。平均的に先細りしていく業界であっても、逆境を強みに変えて大躍進している企業は山ほどあります。同様に、平均的に良い(ダメな)集団の中にあっても、ひどい(優れた)ひとは少なからずおります。
 意義がある3年間を過ごせるかを熟考するのは貴方です。

企業からみた博士の価値

今回は、2007221日に産業技術委員会産学官連携推進部会企業より報告された、『博士課程修了者の状況に関するアンケート調査結果・要旨』より引用です。

引用1
・入社後の博士の能力の伸びが、同年齢の修士より良いとの回答は、1.6%しかない。
 修士も博士も、ポテンシャルに差はないとのことです。つまり、企業・社会に貢献する為の大学のあり方、及び貴方の3年間の努力は方向が的が外れていませんか?


引用2
採用した企業の博士の問題点

「コミュニケーション力」

「協調性」

「業務遂行能力」

 ↑5年間以上もの間、似たような価値観・人間関係の中で引きこもって好きなことをやってきたとしたら、社会人として必要なコミュニケーション能力に相違ができるのは、ある意味当然かもしれません。
 業務遂行能力についても、同様です。3つの壁があります。1つは、研究能力がオフィシャルに通用する能力になっていない場合です。SciFinderChemDraw大学の図書館や論文アクセス権などなど、仮に、研究インフラがない状態であっても、能力が十分に発揮できる基礎力があれば良いのでしょう。一方で、思考力を放棄し、インフラを使いこなす能力を鍛えて、発想力のみで闘ってきたヒトにとって、インフラが変わればポンコツ化するのは間違えないでしょう。
2つ目は、研究環境の互換性の無さです。実験に必要な分析機械は型番・メーカーが異なれば、原理は同じでも、操作方法・試料作成条件・メンテナンス方法はゼロから学び直しです。研究をする以前の段階で、デバフがかかることになります。
3つ目は、価値観とルールの変化です。博士課程の卒業者は6年間、指導教官の方針が絶対でした。一方で就職すると価値観を企業風土に合わせなければなりません。郷に入れば合に従う必要があります。従って、6年間の価値観を捨てて適切に改宗できなければ、業務がこなせません。明文化されていない情報、社内文章の書き方、どの程度まで報連相を求めるか、企業毎に特有の社内ルールが山ほどあります。例えば、東京から北海道まで公共交通機関を手配できない人はいないでしょう。しかし、出張となると、企業毎に誰の承認が必要か、手続きの書式やシステムが大きく異なるため、新入社員は容易にできません。些細なルール、企業内の常識が大きな障害となり、研究以前のところでつまづくことになります。
こうした膨大な社内ルールを前提に、高度(?)な業務が遂行できるのです。
 博士後期課程で3年間、寝る間も惜しんで実験のみ頑張ったヒトより、修士で卒業して、3年間、給与を貰いながら社内ルールを熟知した人材の方が重宝されるのは当然かもしれませんね。

引用3
約9割の企業では、博士課程修了者を対象とした社内教育やキャリア形成支援がない。加えて、給与・処遇面において同年齢の修士より優遇していない会社は約73

(私が知っている)博士後期課程の方は総じて能力が高いです。奨学金という名の借金をこさえて、寝食を惜しんで研究に没頭して結果、運に恵まれて学位を取得できます。しかし、約8割の企業では、これを給与・処遇の面で評価していません。貴方の努力を評価してくれるのは博士を採用する企業のたった2割強です。報われない努力、徒労にならないといですね。

引用4
企業が考える大学院博士課程の問題点


  • 研究に偏っており、教育重視にシフトしてもらいたい


  • 産学の接点が少なく、ほとんどの大学で研究者養成のみになっている


  •  高度な専門性に加えて、対人関係能力や広い視野等の人間力について教育してもらいたい


  • 社会人としての教養、マナー、基本的なコミュニケーションのとり方を学ばせてほしい


  • 現在の人事制度においては、スペシャリストの側面だけで昇進・昇格することに限界がある。

研究室によって環境は大きく異なるため、所属する研究室を振り返ってみてください。
研究するために人生を賭して博士後期課程に進学している学生に対して、研究に偏りすぎているというのも、ブラックジョークな気がしますが...



アメリカでは違うのか?

次に、米労働省統計局がまとめた統計から引用したデータを孫引き引用します。

4大出の駐車場係員は18000人、ウェイトレス&ウェイターは317000人。博士号取って清掃作業員になった人は5057人。
全部合わせるとアメリカでは今、大卒なのに「大学出る必要のない」職種に就いている人が1700万人います。 http://www.gizmodo.jp/2010/10/5000_2.html

アメリカでは博士が重宝されるはずではなかったのでしょうか...。やはり、『優秀であれば』、博士として重宝されるという、前提条件はどの国でも一緒なのでしょう。『優秀であれば』、学位を習得しなくても十分に研究者としてやっていけるのですがね...ちなみに、学位を取れるほどの能力があるのであれば、学卒・修士で就職の道を選ぶことで、間違いなく企業の戦力になっていたはずです。優秀であるほど、少ない椅子をめぐって熾烈な戦い、骨肉の争い、敗れた際のハイリスクが鮮明になります。あなたも、周囲を蹴落とし続けて、勝ち続けられれば良いですね。

 経営論としての博士

経営者は研究を進めていく上で、博士をどのように論じているのか、ピーター・ドラッカーの意見を引用します。

「学位は高いほどより理想的な研究者である。」は誤っている。学位は知識を得た証明であり,これを活かした仕事ができることの証明ではない。従って,研究者並びに学位取得者の増員計画を発表するような企業は成果を出せない。極めつけに、学問的な保証がついていない怠惰な人物より,怠惰で無能な博士号取得者の方が,より組織を疲弊させる。

だとしたら、企業あえて博士を求める必要はないですよね。研究も出来る修士を採用して、3年間みっちりと修行するべきですよね。


 良い化学者になる方法


博士の価値を考える上で、含蓄のある文章だと思いましたので、URLを紹介させていただきます。



以上です



さあ、日本、ひいては大学のために博士後期課程に進学しましょう。

2016年12月7日水曜日

理系の進学 学士・修士・博士 いずれで就職するべきか

理系の進学 学士・修士・博士 いずれで就職するべきか


『ブラック研究室で学士から修士課程に進学するということ』において、大学院、修士課程を大きく否定するような文章を書きましたので、フォローを入れておきます。


金銭的な統計データによる修士課程のススメ

博士>修士>学士の順に賃金が上昇しており、この賃金上昇と学費の投資効果を考えると、博士でも十分に元がとれ、修士に至っては、プレミアが付くほどであるという報告があります。2014年の内閣府経済社会総合研究所より報告された『大学院卒の賃金プレミアム』から引用します。

大学卒(学士)の労働者の給与総額と、修士、博士の給与総額を算出。+2年間の投資(修士の学位)を200万円、+5年間の投資(博士の学位)を500万円と想定して、内部収益率を算出。すると、修士は、男性は11.4%、女性は10.1%、博士は、男性は5.9%、女性は5.7%の投資効果が認められ、修士にはプレミアムが存在するという結果が得られた。
 博士後期課程(博士)を卒業する場合、大学院にて過ごす期間に失う機会費用が重なるために、収入面での優位性は減少する。今後、高度な能力・技能を持った人材、特に研究技術者や専門家を育成しようとするのであれば、留意しておくべき点であるといえるだろう。http://www.esri.go.jp/jp/archive/e_dis/e_dis310/e_dis310.pdf#search=%27%E5%AD%A6%E4%BD%8D+%E5%AD%A6%E6%AD%B4%E5%88%A5%E7%B5%A6%E4%B8%8E+%E5%8D%9A%E5%A3%AB%27

引用終わり

このデータが正しい前提であれば、修士の学位は有効な手段である可能性が大きいです。今の研究室の居心地がよく、生きることに苦痛を感じていなければ進学するのが、合理的な判断かもしれませんね。
修士までは進学しても大丈夫です、ね!!

ただし、(私見ですが...)

本当にプレミアムがついているのか、疑問に思うところがあります。
まず、修士の質の問題です。かつての修士課程は、大学院が設置されている大学自体が少なかったこともあって、修士課程に進学できる母集団の大学のレベルが高かったはずです。現在は、大学院が増加して、かつては修士課程を設置できなかった大学においても取得可能であり、修士が量産されていますから基礎力の面でかつてほどの質が担保されているのでしょうか。

次に、数の問題です。量産の結果、仮に質がよかったとしても、良い就職先の数、社内のポストは限りがあります。加えて、定年延長に伴い、先輩が引退せずポストが空かない企業も多いはずです。従って、今後の若年層は、同様のキャリアーを歩めず、給与が大きく減少していくはずです。(この点については本論でも指摘があり、計算するにあたって賃金テーブルが現状のまま移行することを前提にしています。)

最後に、プレミアについて最大の疑問点は、同じ学部の卒業生を基準に比較できていない点です。一般に学士、修士、博士の順に、集団の偏差値は高くなっていきます。それに見合う賃金上昇なのでしょうか。同じ東大工学部の学士・修士・博士で議論するのであればひょっとしたら異なる可能性があります。旧帝大、地方国公立、有名私立、私立毎に細分化して評価すべきでしょう。多分、困難ですが。加えて、文理の差を考慮できていない状況です。

最大の問題は、余分な2年間、5年間を過ごしたために、どれだけの人が大学や人生からドロップアウトしてしまうのでしょうか?博士後期課程に至っては、学位を取得して就職できた人が年によっても違いますが、6割です。挑戦した結果、全てを失ってしまう人が少なからず存在するのです。貴方が現状に違和感を感じている、耐えられそうないのであれば、早急に就職するのが吉です。

結婚と給与...

男性の方には、興味深いデータが出ています。
既婚者は独身者よりも、大卒で130万円、院卒で133万円年収が高いようです。単に、扶養手当等かと思いきや、妻との死別・離婚者していても、43万円ほど高い傾向があるとのこと。給与が高いから結婚できるのか、結婚できる能力のある人は給与が高くなるのか、謎ですが、結婚経験と給与には明らかな相関が見られています。男性の方は、研究よりも婚活をしたほうが、将来の賃金は高くなる、かもですね。

最後に...

こんな議論、あなたの人生を考える上で意味を持ちません。
(期待を持たせておいて申し訳ありませんが...
一般論として、ドロップアウトしなかった修士の方が平均して良い給与が得られている結果が出ているだけです。これは、奨学金(教育ローン)の合理性や教育政策を議論する為のデータであって、一個人の結果を保証するものではありません。(同様な結果が得られる可能性は限りなく大きいですが)
機械・電子・農学・バイオ・化学といった専攻の違い、就職で重要視されるコミュニケーション能力やパーソナリティーを一切無視しています。

わかりやすい例として、高卒でも、努力して、かつ就職先の選択に成功した方は、普通の大卒や院卒をはるかに上回る給与を得ている、個別の事例を挙げることができます。

どこでなにをするか、ポジションを選択することが大切です。個人を語る上で、平均はあまり意味をなしません。例外はいくらでもあります。良い意味でも、悪い意味でも、貴方が例外になってしまう、なれる可能性はいくらでも、あるのです。




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個人的な幸せと金銭的な関係はある程度は相関しますが、絶対ではありません
その研究室に進んで、将来があると、幸せになれると、絶対の自信持てるのであれば、あなたは修士に進学すれば良いのです。
特殊な例外としてブラック研究室に所属してしまえば、人生に長年に渡って尾を引く、ものすごい貴重な経験をすることができるだけの話です。



2016年11月30日水曜日

博士後期課程のトドメ ドクターの価値 

ドクターへの進学について情報をまとめていきます。


あらゆる情報は全て作為的でアンバランスです。博士号の価値は「博士号取得者が語るべき」ともいいます。しかし、博士号取得者が博士を貶めることは、7年間の自身の生き方を自己否定することです。リアルな世界で決してありえないでしょう。生存者のバイアスも相当にかかります。相当親密な中になって、それでも酔った勢いでポロっと漏れるくらいでしょう
そうした情報の中で、ネット情報や私見をまとめました。
真偽は貴方が判断してください。

進学する理由
まず、進学するモチベーションについて以下のようになるかと思います。 

・就職より研究を続けたい 
・今の研究が楽しくて仕方がない 
・企業でも研究をするためには博士号か必要だ! 
・学位(博士号)が欲しい 
・名誉が欲しい 
・研究者として世界で活躍したい
・出世したい 
博士卒の割合が年々上がり、最低限持っていなければいけないものになってきている。(引用:https://sites.google.com/site/swopp2010phd/summary民間企業就職者の声より)

 一つずつ検討してみましょう。

まず、Ph.D神話とPh.Dの価値について述べます。

 

刷り込み教育

研究室の飲み会で、お酒が入った指導教官が度々、以下の説法をしていました。

日本は昔からPh.Dの価値が評価されない。アメリカではPh.Dの価値は名声・給料ともに非常に高い。日本はアメリカを後追いする政策を取ってきたから、いずれ、Ph.Dを持たない技術者は相手にされなくなる。だから、ウチの研究室で博士後期課程を取得したほうが将来、社会の役にたつことができる。

            By 指導教官

博士後期課程の学生が多数在籍する研究室のHPを拝見すれば、大抵似たような文言が記載されているかと思います。こうした呪文を唱えられた経験はありませんか?

これに対して、ネット・社会的事実・私見・伝聞を以下に述べます。

A1.アメリカがスタンダードでなくなっている可能性がある。

博士の価値について第三者がブログに投稿していましたので、一部引用させていただきます。

筆者は渡米してから10年を迎えようとしているが、アメリカでそのようなPhDへの優遇を実際に経験したことはない。それどころか、PhDだから優遇されたという経験者に会ったことすらない。むしろ、アメリカでもPhDnon-PhDの境界はどんどん曖昧になってきているように感じる。ひとつの証拠として、欧米の製薬系の企業の求人の例を紹介しよう。これら企業の求人欄の学歴・職歴の要件では最近、「博士号(PhD)」または「修士号(MS)プラス企業経験3年以上」または「学士(BS)プラス企業経験5年以上」などと記載されているケースが多くなってきている。今やPhDnon-PhDとの違いは質的なものではなく、研究(むしろ実験?)を始めてからの年数といった量的な差だという認識に変わってきている。(中略)そういう点では、欧米がようやく日本に追いついてきたとでも言えそうだ。
(引用:http://biomedcircus.com/index.html オピニオン:若い研究者たちへ)

あくまで、ある分野のある特殊な業界の事例を恣意的に切り取った情報かもしれません。私も、アメリカの製薬系の求人を確認する程の元気はありませんでした
本気で検証するのであれば、簡単にできると思われますので挑戦してみてください。

しかし、ある意味当然の結果でないかとも思います。技術を持つヒトがいればいいのです。ドクターだろうが高卒だろうが、できるヒトはできるし、できないヒトはできないのです。
同時に、大学の博士後期課程に在籍していたのは、脱落しなかった日本人と多くの外国人でした。そのうち、ほんとに優秀な方もいる一方で、過去の遺産で学位を習得される方もおり、能力には大きな分散があったように感じます。加えてPh.Dは永久資格であり、該当者はどんどん増えていきます。かつては、ある程度の能力を保証していたのかもしれません。しかし、人数が増加した結果、価値はどんどん低下してきているというのが実情かもしれないですね。

A2.これからもPh.Dは増加する方向にある。

平成25年4月8日に提出された、自由民主党における教育再生実行本部からの提言の中に、以下のような項目があります。
2.イノベーションを生む理数教育の刷新

 1.博士号取得者を欧米先進国並の年3.5万人に倍増、真に優秀な学生が学べる環境づくり



平成24年現在の博士号取得者が約1.6万人(引用:高等教育局大学振興課, 平成24年度博士・修士・専門職学位の学位授与状況,(http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2015/07/27/1299723_08.pdf)ですから、単純に2倍強まで増加させる心積もりですね。新卒ドクターの希少価値は、5年後に半分になってしまう模様です。

 


受け入れ先と出口の問題

研究者として博士を採用できる企業は、研究できる余裕、社会経験のない人間を再教育できる余裕が必要です。現状、余裕のある裕福な企業の総数は増加する見込みはありません。
しかし、大学は国が決めた数値目標を達成しないと運営交付金が減額されるので,必死でPhDを増やそうとするのではないでしょうか(類似の事例があります。『ポストドクター等一万人支援計画』で検索、検索!)。ちなみに、現在でさえ、微々たる奨学金でM1の段階から既に博士後期課程進学に向けて学生を雁字搦めにしているのではないかと思われる大学が既に出てきています。

貴方の進学は誰の評価になるか?

これまで以上に、博士後期課程の学生数と学位授与者数が物理的に業績としてだけでなく、指導教官の学内での評価に直結するはずです。優秀なセンセイほど全力で勧誘を実施するでしょう。一方で指導体制は変わりません。むしろ、国立大学で若手の先生が、任期付きでどんどん採用されるなど、研究と教育の最前線でのゆとりのなさを感じます(朝日デジタル:http://www.huffingtonpost.jp/2016/11/22/labor-japanese-uni_n_13137908.html)。こうした条件下で、あくまでも邪推ですが、修士の延長の研究どころか,雑用だけ、指示を受けるだけ、卒業生が残した研究をまとめるだけ、で学位を取得する粗悪なドクターが増える気がします。PhDの社会的希少価値はこうしてどんどん低下していくのではないでしょうか?
現在は修士卒がある程度はレアとはいえ、リクナビ・マイナビが営利対象にできるくらいのパイがあり、研究職以外の道や中小企業が気軽に採用できるようになっています。一昔前は修士でさえ高学歴で採用の敷居が高い状態であったことを鑑みれば、博士も同様の流れになるのでしょうか。つまり、今後は高い教育(?)を受けた博士を企業が安価に雇用できる、つまり、買い叩けるようになる可能性もあります。

 A2-邪推 博士号取得者倍増は日本人を対象にしていない可能性があります。

真に優秀な学生が学べる環境づくりの一環で、留学生30万人計画が立案されています。この点から、博士号の取得者を倍」は日本人ではなく外国人を対象にしている可能性があります。

実験系の研究室では、馬車馬のように学生がスクリーニングをかけて、絨毯爆撃によって驚くべき成果を見つけている分野が案外多い印象をうけます。そういった意味で、大学院を重点化して修士取得者を増やすことは、従順で安い労働力を放り込む意味で大成功を収めました。加えて、修士卒は(平均的に)そこそこの就職先が用意されています。
一方で、『ポストドクター等一万人支援計画』によるPh.Dの増加は教授の労働力の増員としての面では成功したかもしれませんが、卒業後の出口戦略に失敗しました。未だに補助金を投入したり、キャリア支援を実施したり、大きな負債となっているようです。

そこで、あくまで私見ですが、留学生30万人計画を以下のように邪推してしまいます。
大学を運営していく上で、博士後期課程の学生が必要ですが、日本人のドクターの就業支援やアカデミアの道を補助金等で支援することは、現在進行形で高く付いています。そこで、海外の留学生を補助金で集め、実験・学生指導させることで研究成果を出し、その後、母国に送り返します。この結果をもって、大学の労働力を増やし業績を得て、産学官の連携による企業への還元サイクルを回そうというのではないでしょうか。
長期的に経済的収支だけを見れば、不良債権になりかねない日本人の学位取得者を増やすより、留学生へ奨学金を出したほうが安上がりでしょう。実際、既に日本の大学のPh.D取得者をみると、あながち間違っていないのではないかと感じます。日本国から奨学金を貰って悠々自適な研究室生活を送る外国人がなんと多いことかまた、優秀な外国人の博士後期課程の学生に指導を受けて巣立っていく修士の学生も少なくないです。

技術や研究への価値観は過去に時間と資金を膨大に投資してきた結果の産物です。研究室での人間関係を通じてノウハウや価値観が伝承され進歩していきます。留学生も同様にノウハウや価値観を入手していきます。では、ノウハウを学んだ彼らが帰国したらどうなるか?基礎研究が日本の強みだと言われてきましたが、今後はどうなるのでしょうか
まあ、将来の化学や大学の授業料、少子化対策、若者の就労支援よりも、現在の団塊の世代の再就職の待遇や年金や社会保障のほうが日本にとって遥かに重要で議論する価値のある問題ですから、さしたる問題ではないですよね!

 


あなたへの直接の影響として

なにより、学位の価値という視点で考えたとき、あなたと同じ(若しくはそれ以上の研究室で)教育を受け、かつ二ヶ国語以上使いこなすドクターと就職・就業において競争しなければならないのです。多くの相手は、国費留学生として、金銭的な余裕があなたよりあるかもしれません。闘い抜く自信はありますか?
この結果、企業は日本人のドクターをさらに買い叩けるようになるのではないでしょうか


A-3正直な教授の言葉


学会の懇親会でお酒が入ったとき、旧帝大の先生が、
Ph.Dなんてアカデミックの登竜門に上るための入場券でしかなくて、それ以外に一切価値がない。必要なら社会人になってから取りにこればいい。ウチの研究室では社会人ドクターは受け入れるけど、学生の君たちには、その覚悟がないなら就職を勧める』
と、所属の学生の前で言い切っていました。




Ph.Dの価値についてはここまでにしておきます。