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2017年3月1日水曜日

博士後期課程のススメ 研究者の成れの果て


研究者のその後について淡々とまとめていきます。

 

研究者としての成功とは

博士後期課程への進学は経済的な成功を収める上で、極めて非合理的な選択であることは、すでに述べました。それでも、進学を決意しようとする貴方は、『研究者としての成功』を夢見ているのだと思います。その成功の一例について、公式な文献から引用します。

 成功の一例

日本において最高峰の研究者が集う理研や産総研の研究者として働けることは、研究者としての成功の道の一つです。任期付研究員として複数の研究機関で精力的に研究を行い、実績もだし、30代半ばで定年制研究者となる。さあ、これから学生時代に夢見た好きな研究ができる、夢と希望のスタートラインに立ったばかりのエリートであります。自分と重ねて想像してみてください....さぞかし、野望に燃えてキラキラしているはずではありませんか。

現実を、理研ニュース 2017年1月より引用します。

成果を上げ、定年制研究者として採用した30半ばの人たちに、これからやりたいことを聞くと、研究のことではなく、結婚したいとか、家を持ちたい、と返ってきました。かわいそうな気がします。(中略)…30半ばでようやく安定した定年のポストに就く。そこで初めて結婚やマイホームを検討する職業として魅力的なのかどうか。
引用以上
貴方の想像と実像は一致しましたか?

しんきんぐ!!

論点は2つあります

満足

一つ目は、あなたが満足できますか?実例は、10年前に今の貴方と同じ夢をみて博士後期課程に進学し、同期との熾烈な生存競争に生き残った極めて優秀な成功者の姿です。馬車馬のように働き続けた10年後。更にこれから、研究よりも結婚や家を持つことを夢見て働く姿を想像できますか?ちなみに、学部(or修士課程)で卒業し、しっかりと就職活動していれば、安定した生活も結婚もマイホームも、とっくに入手することが可能だったものです。今頃、子供の成長に日々胸を膨らませていたのではないでしょうか…

世間の感覚

二つ目は、一般人の感覚で上記の状態を『かわいそう』と表現するらしいです。研究室生活の中で、感覚がおかしくなっているのではないか、もう一度振り返ってみてください。(わたしは、健康な体で、実力も成果もあって、研究ができる、ステキな身分だと思います。卒業してしばらく経過したにも関わらず、いまだに汚染されていますね

放り投げた例

次に、文章を信じれば、助教まで昇進された女性の手記から引用します。

http://biomedcircus.com/research_02_13.html

あれだけ苦労して手にいれた博士号なのに。20代の貴重な5年間を使って手に入れた博士号なのに。なけなしのお金(学費など)を使って手に入れた博士号なのに。それに、家族との時間を犠牲にして自分の楽しみを我慢してようやっと出せた論文なのに・・・。

あのときの若さとガッツがあれば、もっと別のことをしてお金を稼げばよかった。私、博士号を取得したあとは、ポスドクとして馬車馬のように働かされたんですよ、やっすい給料で土日の休みなく。ポスドクなんてしないで、もっとお金を稼ぐトレーニングをしていればよかったと心の底から思いますね。自分の人生で最も精力的に働ける期間に、安い給料で長時間、実質的には何の意味もない「論文」を書くために自分の全リソースを注いでたんです

 もうね、研究者でいることが苦痛だと頭で理解したあとは、本当に後悔の連続でしたよ。(中略)

 で、転職することを告げたんですよ、研究室の教授や周りの人に。研究の引き継ぎなんかを余裕をもって出来るようなプランとともに。でも、そのときのことは、今思い出してもダークサイドに堕ちたくなりますね。「今やってる研究を放り投げるのか?この無責任な奴め。そんなんだから研究者として成果が出なかったんだ」みたいに言われたりしましてね。私の人生プランを放り投げて雑用・雑務ばかり押し付けてきたのに、よくもまあって感じです。挙句の果てには「裏切り者」扱いですよ。私が誰の何を裏切ったのか、今でもよくわかりません。皆様立派な科学者なのに非論理的な叱責ばかり私にしてましたね。
引用以上

しんきんぐ

ぜひ、全文を読まれることをお勧めします。分野が異なるので詳しくは分かりませんが、本当であればもっとすごいことが書いてあります。助教に採用されており、成功の道を歩き始めた方であるのに、10数年の全てを放り投げれてしまう厳しさがあるようです

他人の人生プランを無茶苦茶にして、働かせる。雑務・雑用を押し付ける。挙句の果てに自己責任で裏切り者扱い。以前、私が書いた体験記と全く同じです。程度は随分違うのだと思いますがそういう研究室に在籍している以上、トップにならない限り、ずーっと同じ扱いを受けるのでしょうね。ちなみに、こういった扱いをしている人たちこそが、貴方が真に憧れるべき、真の成功者なのですが、そうなりたいですか?なりたいですよね!


さあ、『研究者としての成功』を目指して博士後期課程へ進学しましょう!